2014/04/03

映画『大人ドロップ』。





明日公開を迎える映画『大人ドロップ』

<あらすじ>
主人公・浅井由(池松壮亮)は高校3年の夏休み直前に、親友のハジメ(前野朋哉)に頼まれ、彼が想いを寄せるクラスメート入江杏(橋本愛)とのデートをセッティングする。しかし、そのことが原因で彼女を怒らせてしまう。仲直りできないまま夏休みに突入してしまい、さらに彼女は学校を辞め、急遽遠くへ引っ越してしまうという。浅井の心のモヤモヤはより一層増すばかりだが、その気持ちが恋なのか、親友への対抗意識なのか、ハッキリとは分からない。
一方、大人になるために何かと経験を急ぐ女友達のハル(小林涼子)から、年上の彼氏との恋愛相談をされる。「大事なものを失っても経験しなければいけないことがある」とハルの言葉やハジメの言動の変化に、自分以外のまわりの人間が少しずつ大人の階段をのぼり始めていると感じ、焦りはじめる。
「大人になるって、何?」
浅井はその答えを求めるかのように思い切って入江杏へ手紙を出した。数日後、彼女から返事が届き、学校を辞めた本当の理由を知ることになる。どうしようもない衝動に動かされ、浅井はハジメと共に片道200キロの旅に出るのだった・・・・。


という内容。

それ以外の詳細ストーリーはこちらのオフィシャルサイトにて。

試写会で見終えた後の率直な感想は、“もう一度見たい!”だった。

何故か。

当たり前の話、僕は男であり、主人公も男の子である故に、池松壮亮演じる浅井由の心情風景にどっぷりと浸かりながらストーリーを追いかけながら見続けたのであるが、他のキャスト達におけるそれぞれのストーリーも濃密であったことに気づいたからなのである。

この映画は、キャストが少ない。主人公含めて、4人の人物が中心を成して、物語が進められて行く。その4人の個性がとても素晴らしい。個性が強い4人とも言えるけれど、その強さが巧みに絡み合い、映像から伝わってくる4人の心情風景を上っ面で感じるだけでは物足りないくらい、妄想を誇大に感化させられる場面が多々あったのだ。

あらゆる出演作品において、凛とした姿で、自らの世界観を繰り広げる、橋本愛。腑抜けでユーモラスな役どころを前面に押し出し、愛くるしさと暑苦しさを発揮する、前野朋哉。自由奔放、明朗快活で、表裏の無い元気な女子として佇みながら、誰よりも何かに苦悩する、小林涼子。この3人と、木訥としたイメージそのまま、映画の世界観に自らを吸い込ませるような演技力を発揮する、主人公、池松壮亮。この例えは、俳優としての彼等自身にも当てはまるし、この映画で演じている役どころにも当てはまるのだ。

故に、この映画は、性別を超えて、4人個々それぞれの感情に自らを照らし合わせて観るべき映画、そうして観るとさらに面白味が沸いて出てくる映画だと思った。なので、 “もう一度見たい!”という感想が率直に溢れ出てきた。なので、後、3回は観たいなっ、ていうことなのだ。

テーマは、“青春”である。

高校生の夏の物語である。

想像するに、昔過ごしたあの頃の甘酸っぱい記憶。大人になる一歩前の感覚。恋愛にときめくあの感情。そんなことに思いを馳せるような内容であろうと想像するだろう。それも正解であるが、それだけじゃない、なんとも言えないモヤモヤが残る。そんな映画である。

青春なんて、一筋縄では説明のつかないものであるからして。だから恋愛同様、様々な物語が今も昔も無数に生まれて来ている。さらに、青春も恋愛も、ティーンエイジャーの特権ではないと僕は思っているので、いくつになってもその感情は残り続けるものである。古き良き想い出ではなく、今も日々、どこかで湧き起こるものが、青春であり恋愛であるというものだと。

そんなことに改めて気づかされる映画である。飯塚健監督の、テンポ感、ポップな感覚。それも生かされているが、今作は、あえてそのような手法を前面に出していないところが、また、モヤモヤをさそうのではないかと思った。場面、場面で監督の味が出てくる部分もあるが、それよりも、全編に流れるのは、穏やかな映像美。たんたんとしたものでもある。でもそれがあるからこそ、キャストの心の移り変わり模様にフォーカスしてしまうのである。

“大人になるって、何?”

そんなテーマも掲げられている。

青春、恋愛、同様。大人なんてものもの、定義づければ定義づけられるが、そんな簡単なものじゃない。この映画にも答えは出てこない。だからこそ、さきほどから伝えているモヤモヤとした感情。それが、なおさら、この映画にずーっと流れているものであるということなのだ。

明日公開を迎える映画『大人ドロップ』。

なんかわからないけど、青春って、こんな感じだったけ?

恋愛って?大人って?

とか。

そんなモヤモヤを感じること。

なんとなく日々を過ごしていると忘れがちな、あの感覚。

答えのないものの中にある、その感情。

それに気づかされる作品です。

是非鑑賞下さい!

イベントも開催します!
是非遊びに来てください!

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2014年4月4日(金)ロードショー

出演:池松壮亮、橋本愛、小林涼子、前野朋哉
原作:樋口直哉「大人ドロップ」(小学館文庫刊)
監督・脚本・編集:飯塚 健
配給:東宝映像事業部
©2014 樋口直哉・小学館/「大人ドロップ」製作委員会
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2014.04.09(水)@渋谷 SOUND MUSEUM VISION
OPEN 18:30/START 19:00 
ADV ¥1,500/DOOR ¥2,000(1ドリンク代別)
チケット:イープラス
INFO:バンタンデザイン研究所(03-5704-2300)/渋谷 SOUND MUSEUM VISION(03-5728-2824)
LINE UP
出演バンド:黒猫チェルシー、うみのて
出演DJ:DJダイノジ、保坂壮彦(ALL IS LOVE IS ALL/ClubBAGSY)
トークショー:飯塚健監督、前野朋哉、渡辺大知(黒猫チェルシー)、ほか
★ 当日はこのイベント限定の“青春フード”を無料提供予定!
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